5フォースモデルと書き方
5フォースモデルという言葉は、経営戦略や企業分析を行ったことがある人なら一度は聞いたことがある言葉かもしれません。5フォースモデルとはポーターが唱える競争戦略論のひとつです。
競争戦略とは業界内で防衛可能な地位(競争回避)をつくり、5つの競争要因にうまく対処し、企業の投資収益を大きくするための攻撃的または防衛的なアクションだと言われています。
この5フォースモデルは業界内外の競争要因を分析する際に使われるフレームワークです。
今朝のニュースでアップルに部品等を提供するサプライヤー内の競争構造の変化が取り上げられていました。
米アップルの機器生産で中国企業の存在感が高まっている。アップルが2日までに開示した2020年のサプライヤーリストで、中国(香港を含む)勢は200社中51社と、台湾を初めて上回り首位となった。液晶パネル大手の京東方科技集団(BOE)などが名を連ねた。米中ハイテク摩擦のさなかでもアップルは中国依存度を高めた。
2021/06/03 05:25 日経速報ニュースより引用
アップルが開示した200社取引リストによると、中国は前回の調査から9社増え、51社となりました。
一方で日本は、前回の調査から4社減り、34社となりました。
社数ベースでは少ないものの、供給している価格ベースでは韓国勢と米国勢の存在感がいまだ大きいです。
5フォースモデル解説
ポーターは、特定の事業分野における競争状態を決定する要因として5つの要素をあげています。
競争状態は業界内の要因だけでなく、業界外の要因によっても影響を受けることがわかっており、これらの5つの競争要因の分析によって、自社の置かれている競争環境、つまり業界内の企業がどれくらいの収益を確保できるのかを明らかにしています。イメージ図は以下のとおりです。
それぞれの要素について説明していきます。
①業界内の競争
ある業界にすでに参入している企業同士の競争関係で、企業の競争行動が激しいほど、競争状態も激しくなるといわれます。敵対関係が激化する(その結果、価格競争になる)主な要因は以下のとおりです。
・同業者が多い
・同程度の規模の会社がひしめいている
・市場規模の成長速度が遅い
・固定コストまたは在庫コストが高い
・製品を差別化するポイントがない
・業界から撤退しにくい(撤退障壁が高い)
②新規参入企業の脅威
ある業界に新しく参入しようとする企業が存在し、その業界への参入障壁が低い場合には、競争状態も激しくなります。
③代替品の脅威
代替品とは、ある製品と同じ機能をもつ製品で、保有することによって従来の製品が不必要になる製品のことです。このような代替品の登場により、既存の製品との競争が激しくなります。
④売り手の交渉力
売り手とは、ある業界(の企業)に対し、製品を生産する部品や原材料を提供する供給業者です。
たとえば、供給業者のもつ部品などが特別に差別化されている(特許を取得しているなど)のであれば、その供給業者の持つ交渉力は業界にとって脅威となります。
⑤買い手の交渉力
買い手とは、ある業界(の企業)が製品を販売する顧客のことです。
たとえば、この顧客が大規模な流通チェーンを保有し、購買力が非常に大きい場合には、その顧客のもつ交渉力は業界にとって脅威になります。
今回のニュースは、アップルからみると④売り手の交渉力の話で、サプライヤーからみると①業界内の競争や⑤買い手の交渉力の話になります。分析したい業界を5フォース分析の真ん中位置にあてはめて考えてみてください。
業界の収益性が5つの競争要因の影響を受けることは事実ですが、ポーターは、企業は5つの要因すべて、あるいは特定の要因に働きかけることで産業構造を変え、自社の収益性を向上させることがあるとしています。そのための手段として、競争の3つの基本戦略がありますが、ここについてはまた記事で紹介します。
今日から使える資料ポイント
最後に、今日から使える資料ポイントです。
関係性を示す要素が多い時は「矢印」を適切に使いましょう。
情報が多すぎると資料を直感的に理解できないので注意です。
競争戦略は奥が深く、すぐに使えるフレームワークが沢山あります。
こんな情報が知りたい、資料が作りたい、という要望があれば是非教えて下さいね。
それでは、本日もよい一日を!